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最高裁判所第三小法廷 昭和23年(れ)1859号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人石川淺の上告趣意一について

勾留の更新は、勾留の繼續に外ならないのであるから、別段の規定のない勾留更新決定の執行については、勾留状の執行に準じて、舊刑訴法第一〇〇條第一〇三條により勾留更新決定を発した裁判所は決定の原本を檢察官に送付し、監獄官吏は檢察官の指揮によってその原本を被告人に示して執行するのであって、決定の謄本を被告人に送達することは執行の要件ではない。されば、所論のように、本件の勾更更新決定が勾留の更新期間開始後被告人に送達されたとか、その送達を欠いたとかいうような事由があったとしても、それは勾留更新決定の執行を違法ならしめるものではない。論旨は、本件の勾留更新決定の執行が違法であることを前提として、その違法手續による勾留中にされた被告人の自白を證據に引用した原判決が憲法の條規に違反することを主張するものであるが、その主張の前提が認容されない以上、憲法適否の問題を論ずるまでもなく論旨の理由がないことは明かであるから、當小法廷において裁判する次第である。(その他の判決理由は省略する。)

よって、舊刑訴法第四四六條に從い主文のとおり判決する。

以上は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

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